「山手線」は丸くない? オープンデータが示す事実

東京の交通の大動脈であり、日本で最も有名な鉄道路線とも言える「JR山手線」。緑色の電車がぐるぐると東京の中心部を回り続ける環状線として、誰もが認識しています。

しかし、当サイトがベースとしている国土交通省の「国土数値情報(鉄道データ)」などの公式なインフラデータにおいて、「山手線」という路線名で検索しても、きれいな円を描くことはありません。実は、法律や事業基本計画上の正式な「山手線」は、品川駅から新宿駅を経由して田端駅に至る、アルファベットの「C」の字のような区間のみを指すからです。

3つの路線から成る環状運転

では、残りの右半分の区間はどうなっているのでしょうか。実は、東京駅から品川駅までは「東海道本線」、東京駅から田端駅までは「東北本線」の線路の一部なのです。

👉 【推移グラフ】JR東日本 山手線(品川〜新宿〜田端)
👉 【推移グラフ】JR東日本 東海道線(東京〜品川を含む)
👉 【推移グラフ】JR東日本 東北本線(東京〜田端を含む)

つまり、私たちが普段「山手線に乗る」と言っているのは、「東海道本線・山手線・東北本線の3つの路線の専用軌道を直通して、ぐるぐると環状運転している列車に乗る」というのが、インフラ管理上の正確な表現になります。

こうした「利用客向けの案内上の路線名(愛称・系統名)」と「戸籍上の正式な路線名」のねじれは、歴史的な成り立ちや線路の敷設権などの経緯によるもので、全国各地の鉄道網に存在します。例えば、京浜東北線も正式な路線名ではなく、東海道本線や東北本線を走る一つの「運転系統」の名称です。

データを扱う面白さと難しさ

行政が公開するオープンデータは、こうした法的な定義や正式名称に基づいて作成されています。そのため、単純に「山手線の乗降客数を知りたい」と思っても、データ上は東海道本線や東北本線の駅として分類されている東京駅や秋葉原駅のデータを探し出し、自分でつなぎ合わせる必要があります。

当サイト「日本交通データマップ」では、こうした生のオープンデータが持つ厳密さを保持しつつ、ユーザーが直感的に路線や駅を探せるように、一部で一般的な案内名称による検索もサポートする工夫を施しています。

普段何気なく利用している鉄道路線も、データの「戸籍」という視点から見直すと、明治時代から続く鉄道建設の歴史や、都市計画の裏側が見えてきます。駅の乗降客数グラフを見る際も、「この駅は本当は何線に属しているのか?」という視点を持つと、また違った面白さが発見できるはずです。